Canonet QL17 ニコイチ


Canonet QL17 です。このカメラは昔に叔母さんからいただいたもので、叔母さんが学生時代写真部だった時に使っていたものです。


僕からすると、叔母さんがおじいちゃんに買ってもらったカメラなので、ある意味おじいちゃんの形見ともいえます。ただ、絞りがまったく動かなかったり、ファインダーのミラーが取れて使えない状態だったので、ずっと実家に置いてありました。

Canonet QL17 を少し調べてみると、Canon が1960年代に発売したレンジファインダーカメラで、マニュアルとシャッタースピード優先で撮影が出来ます。ファインダーには絞りが刻まれていて、絞りを AUTO に設定すると、シャッタースピードによって自動で絞りを設定します。当時の事を調べると、Canon はレンジファインダーにこだわっていたようです。一方 PENTAX SP も同じ時期に発売されたカメラですが、PENTAX はクイックリターンミラーを使った一眼レフの開祖、同じ時代ながらも違うこだわりを持ったカメラなのかもしれません。

最近カメラの修理に興味があるので、もしかしたら今なら直せるかもと思い、実家からカメラを送ってもらい、ネット情報を見ながらチャレンジしてみました。修理といっても、どうしても直せない箇所があるのは分かっているので、ヤフオクで部品取りを探し、ジャンクでも程度が良いものを1,000円で入手する事ができました。

2台のカメラ情報をまとめると、、、

【叔母さんカメラ】
・レンズ小カビ・埃
・絞り不動
・ファインダーは綺麗(露出計用のミラーがとれている…)
・レリーズボタン内パーツの不具合
・露出計動作
・外装綺麗
・モルトぼろぼろ

【ヤフオクカメラ】
・レンズ綺麗
・絞り・シャッターバネ良好
・ファインダー微妙
・露出計不動
・外装へこみ有り、ファインダーのガラスがとれる
・モルトまだ使える

といった感じです。
2台を比べると、露出計を除けばヤフオクカメラの方が程度が良い。うーん、露出計さえ動けば良いのにと思いながら、電池を入れ AUTO モードへ。しばらくすると、なんと露出計が動き出しました。ヤフオクの出品情報では露出計不動となっていたのですが、どうやら出品者の方は AUTO に入れないと露出計が動かない事を知らなかったのかも。
こうなったら予定変更し、部品取りだったヤフオクカメラをベースにして直す事にしました。叔母さんカメラがメインでは無いけど、カメラも使われずに置いておかれるより、部分的にでも使った方がきっと喜ぶに違いない。

ということで、まずはヤフオクカメラのファインダーの掃除から。分解してファインダーを綺麗にします。と、ここでいきなり痛恨のミス…。綿棒で軽くこすっただけなのに、ピント調整用のレンズが取れてしまった…。形状的にボンドで付いていたらしく、ピントに関わる重要な部分で困ってしまった。というかこれが無いとファインダーが二重像にならない。という事はピントが合わせられない。しかし狭い場所で付け直すのも難しく、悩んだ結果ファインダーが綺麗な叔母さんのカメラから、ファインダーユニットをごっそり移植することにした。
という事で、結果的にヤフオクのボディーに下記を移植しました。

・ファインダーユニット(露出計用のミラーは接着剤で付け直した)
・レリーズ(ボタンとその中身)
・上蓋、下蓋

最後にファインダー交換でピントが狂っているので、目測でピント調整して作業終了です。結果的にヤフオクカメラがメインになってしまいましたが、直した1台は実用で、もう1台は大切に保管しておこうと思います。



修理は終わったので次はテストです。
まずはピントが正確に合っているか確認する為、カメラの位置から机の端(壁)までを1mに設定し、斜めに鉄定規を置き、壁には文字が書かれたカレンダーを置いてみました。
絞りは開放(f1.7)にして極薄の被写界深度の状態でピントが合うか確認します。しかし発想自体は良かったのですが、露出がダメで上手く撮れていませんでした。まぁ壁やカレンダーの文字にピントが合っているし、定規の先端もボケていないので、それなりに大丈夫そうかな。対象物まで 1m で f1.7 の被写界深度と考えると、ピントが外れていたらもっと分かるはず。ベストかどうか分かりませんが、一応今回は誤差内という事で。

続いて職場の近所で撮影してきました。シャッタースピードが最高 1/500 なので絞り気味に撮っています。SP に比べピントが合わせにくいので、少し絞って f5.6〜f11 を中心に、スナップとして使った方が楽しそうです。あんまりカミソリみたいなシビアな被写界深度にすると、ピント調整のツメが甘いとバレちゃいますしね。ピントは撮りながら追い込んでいくという事で、絵的には満足できたし、一応実用機という事で今後の活躍に期待大です。






当時このカメラで撮った世界はどんなものだったんだろう。もしかしたら、うちの母親も学生の頃、このカメラで撮られた事があるかもしれない。なんて事を想像しながら、カメラと向き合うのも面白い。直して良かったです。


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