岳
大好きな「岳」が終わりました。
これほど漫画の世界観に魅了されたのは初めてでした。漫画なのに実在する三歩が居なくなってしまった様な…何とも心に穴が空いた様な気分です。
終わり方には賛否両論あるみたいです。
エベレストでの最後のシーンは、今までの三歩の発言・行動をひっくり返してしまう様な展開で、正直なところ1回目読んだ時は違和感がありました。これは今までの「岳」が積み上げてきたものを壊す様で悲しかったし、何よりあの無敵の三歩が…という気持ちでいっぱいでした。
ただ、その後何度か読み直しているうちに、なぜか違和感も無くなっていった。というのも阿久津の事故で見失っていた、三歩にとっての山とは何かをローツェで見つけたんだろう。実際にローツェのシーンは素っ気ない物だったし、「人ひとりを助けること自体が大きな山」という言葉にも込められていると思う。だからこそ最後は「バカだな」と無理かもしれないと分かりながらも、救助という大きな山に立ち向かった気がする。過去の流れでいけば、最後は引き返すべきだったんだけど、そういう意味ではやっぱり三歩は自分勝手な人だったんだと思う。理屈抜きで救いたいという想いが溢れた最後だった。
三歩がその後どうなったかは読者にゆだねられたけど、個人的には三歩の描き方が死に近づきながらも、ナオタの事を思いだすシーンによって生へと変わった気がするので、生きているんじゃないかと思っています。そして「さあ、帰るか」という言葉に全てが詰まっている気がする。
でも、生きてても死んでても、きっと三歩なら「よく頑張った!」て言うよね。
それなら僕も三歩と作者に「よく頑張った!」と言ってあげたい。
長い間ありがとうございました。本当に楽しめました。